農地・住居や技術研修で苦労もありますが、農業にはそれ以上の魅力があるのです



 

農業につくための道筋

農村

就農の道筋の多様化

農業を職業として始めるには、

  • 「自営の農業に従事する」
  • 「農業法人に就職して農業に従事する」

といった2つに大別されます。

 

前者は、農地を借りてすぐに始める人もいます。

 

最近では、農業技術や経営技術を研修するしくみが整備され、実践的な研修を2〜3年して始める人も増えているようです。

 

農業の知識や技術を学ぶには、就農準備校、道府県立の農業大学校、農業の専門学校や専修学校があります。

 

また、先進農家や農業法人で農業研修生として農業技術や経営技術の実践的なことを体験研修することもできます。

 

農業研修期間の生活を保障するために、国の就農支援資金の就農研修資金を2年間、月額15万円以内無利子で借りられる制度があります。

 

また、農業法人で従業員として何年か農業を経験してから独立して農業をする人も増えているようです。

増加する農業法人への就職

若い人は、農業の知識や技術が不足していることや、農業をはじめる資金も足りないことが多いので、若い人がすぐに農業をはじめるには、農業生産を行っている会社などの農業法人に就職するのが近道です。

 

また、農業法人の雇用環境もだんだんと整ってきています。

 

「労働力調査」によると、農業部門の被雇用者数は、1993年の25万人から2005年には32万人にまで増えています。

 

農業法人で経験を積んでから、独立して自営で農業をするという場合もあります。

農家出身者と農家以外の出身者

農業をはじめたいという就農希望者は、農家の後を継ぐ、定年後に帰り農業をはじめたというように、実際には相談窓口を利用しないのか農家出身者が多いのです。

 

しかし、まったく農家とは関係のない人、新しく農業をはじめる新規参入者は、年々増えています。

支援してくれるところを選ぶ

農業をはじめたい人を応援する国や都道府県、市町村の支援が整備されてきたことや、農業経験がない人も歓迎してくれる市町村や農業法人が増えてきたことが、農業に就く道筋を多様にしているようです。

 

自営で農業をはじめたい人は、独立心が強いのですが、国や都道府県、市町村の支援を利用する方が、農業技術を習得しやすかったり、農地などが手に入りやすくなります

 

また、農業技術を実践的に学べるので、後々経営確立にもつながるでしょう。


農業をはじめた人たちとはT

農地

年間8万人の新規就農者

2003年度で農業をはじめた人は、およそ8万人です。

 

年代別では、20代30代が1万1900人、40代以上が6万8300人となっています。

 

また、60歳前後の帰農も増えてきています。

 

それぞれの年代にあった農業の始め方があります。

 

そこで、実際に新しく農業をはじめた人の事例をみていきましょう。

農業出身者には脱サラ組が多い

年間8万人の新規就農者のほとんどは、農家出身者です。

 

農家出身者は実家に農地があり、農業用の機械や施設があるので、改めてそれらを購入する必要がないので、すぐに農業をはじめることができます。

 

反対に、高校などを卒業してはじめた新規学卒就農者が、2003年度はたったの2200人です。

 

7万8000人は、脱サラ組の人たちなのです。

 

そういった人たちは、農業以外の仕事での経験を農業でも生かしているのです。

増えている都会出身者の新規参入者

農家以外の出身者でも、立派に農業をこなしています。

 

農林水産省の調べによると新規参入の就農者は、1990年の69人から2001年には530人に増えています。

 

新規参入者の7割がサラリーマンです。

 

そして、そういった脱サラ組が、農村に新風を吹き込んでいるのです。

 

農業の担い手が減少しているために、農業部門は人材を広く求めています。

 

そのため国や都道府県、市町村、農協などの、新規就農希望者に対する支援が整ってきているので、都会出身者にとっても、新たに農業をはじめるチャンスが来ていると言えるのです。

農業を支える脱サラ組

農家出身者と農家以外の出身者の「農業をはじめた動機」を比べた興味深い結果があります。

 

どちらの出身者も「自分で創意工夫ができる農業が好きだから」が40%前後と高くなっています。

 

しかし、農家出身者では、「農地の継承などの家の事情から」がこれを上回り51%となっています。

 

それに対して農家以外の出身者は、「田舎暮らしがした」「時間が自由にとれるから」「有機農業や無農薬農業などをやりたい」が高い割合を占めています。

 

新規就農者が農業や農村に新風を吹き込んでいる理由は、「創意工夫を生かした」ということからでしょう。

 

農業は総合的な産業です。

 

農畜産物を作るだけではなく販売、また加工しての販売や、観光農園を経営するといったこともあります。

 

さらに、副業で農家レストランや農家民宿をしている人もいます。

 

このように、農業は総合的な仕事なので、農業以外の仕事で得た経験が生きてくるのです


農業をはじめた人たちとはU

農地

どんな作物をつくっているのか

新規参入就農者の生産物の1位は41%の野菜、2位は15%の花です。

 

この二つが多いのは、広くない農地で農業ができるからです。

 

米作は12%、麦類・豆類といった畑作は5%となっています。

 

米や麦は土地利用型の経営作目となっているので、広い農地面積が必要になってきます。

 

そして、リンゴ、ミカン、ブドウ、ナシ、モモ、ブルーベリーといった果物の生産は8%となっています。

 

果樹は苗木から育て、実がなるまでに年数を必要とします。

 

また、苗木代といった初期投資も必要なので、新規参入者にとっては、取り組みにくい経営作目と言えるでしょう。

 

新規参入者が1%の工芸作物は、葉タバコや茶があります。

 

畜産の新規参入者は、経営作物として北海道を中心とした酪農が殆どを占めています。

 

酪農は、牛舎、搾乳施設や導入する乳用牛といった初期投資金額が大きいのですが、北海道では、研修を一定の年数行った新規参入者に牧場や農場をリースするといった、独自の支援処置があるので、酪農への新規参入はしやすくなっているようです。

 

新規就農者は、最初はほぼ農地を借り入れてはじめています。

 

そのために、野菜や花といった面積が小さくでもできる作物の栽培を行うのです。

 

しかし、最近では広い面積での米麦作に参入する就農者が増え、高齢になった農家が育成して果樹園を貸し出したり、果物栽培に新規参入して農家はじめる人もいるようです。

 

さらに、農産物の加工やイチゴなどの農園に取り組む新規参入者もいるようです。

新規就農者の事例に学ぶ

大手製鉄会社員から都市近郊農家になったO.Mさん(58歳)の事例

有名国立大学の理系学部卒、大手製鉄会社本社で課長職のエリートでしたが、農家の長女と結婚し、義父が亡くなったことから婿養子になり農家の後を継ぎ、野菜の栽培を始めて13年。

 

以前は建造物の設計の仕事でしたが、今では数字ではあらわすことができない、自然の中で体を動かして物を作ることに喜びを感じています。

 

農業をはじめたことで、痛風も治ったそうです。

 

初めは戸惑いもありましたが、農業技術は、親戚や近所の農家に教わり身に付けたということです。

 

そして、現在ナスの栽培は、地域のトップクラスのまでなり、農作物コンクールで上位入賞を果たすようになっています。

 

また、地元農協の役員でもあります。

住宅の営業マンからトマト農家になったS.Oさん(36歳)の事例

他人が製造したものを販売するより、納得いくように自分が作ったものを責任もって販売したいと、住宅会社の営業マンから農業を選びました。

 

栽培技術は、トマト栽培のベテラン農家に体験研修を頼み、その傍らで、空いた800uの温室ハウスを借りて、実体験することで自信をつけたそうです。

 

温室ハウスの建設費は、補助事業で2000万円。

 

国と村からの60%の補助、600万円は農業近代化資金の借り入れ、200万円は親から借り入れたそうです。

 

自分で作ったトマトだという納得と喜びがあるそうです。

出版社勤務から花壇苗生産経営をはじめたT.Tさん(38歳)の事例

農業関係の出版社勤務をしていたのですが、農業への思いが募り、山形県の雇用創出対策の農業実習事業で農業法人の実習生になり、1年の研修後に、同じ法人の研修生と一緒に花壇苗の生産・販売を始めて3年目になるそうです。

 

転職には家族の反対があったそうですが、農業への思いと1年間の研修中は、農業団体と雇用契約を結んでいるので、一定の給料保障があるという条件で押し切ったそうです。

 

農地は研修先の法人から借り入れたということです。

農業をしたいという思いから始めたN.Tさん(37歳)の事例

大学院で農作物を学んで食品会社で働こうと考えていたそうです。

 

しかし、農業を学んで農村を歩いていると、目の前で起こっていた農業・農村の問題が続けば、次世代の子どもたちにしわ寄せがくる、ということからなり手がいない農業をやろうという思いがつのったそうです。

 

そして、大学院終了後に、新潟県の山間部の離農農家跡に引っ越し、大規模な農業法人経営で農業研修をしたそうです。

 

また、同時に、離農跡の水田で低農薬米の試験栽培をはじめたのです。

 

2年の研修後結婚、独立して、現在では5.4ヘクタールの水田でお米とブルーベリー栽培を行い、宅配便を利用して直接販売を行っています。

 

Tさんの場合は、離農農家のまとまった水田を購入してスタートしたとのことです。

情報通信会社勤務からイチゴ園主になったK.Mさん(53歳)の事例

情報通信関係の会社の転勤が決まろうとしてきたときに、高齢の両親の世話のことも考えて農業への転職を決めたそうです。

 

数年前から就農相談窓口を利用したり、図書館で農業技術書を読んだりして、農業への転職準備をしていたそうですが、いざとなると大きな決断だったようです。

 

畑30aにビニール温室を作って、イチゴの栽培を開始しました。

 

栽培技術は、農業書による独学と農業改良普及員からの指導で学んだとのことです。

 

市場に出荷するだけでは売り上げが伸びないので、販売方法を工夫し、生協へ産直販売を行い、入園料をとってイチゴ狩りを体験する観光農園にしたのです。

 

現在では、農園内でイチゴジャムやイチゴ大福作りの体験もできる体験観光農園になり、若い女性グループに人気があるそうです。

若い女性たちが農家をはじめた事例

Y.Sさん(36歳)は、公務員勤務後、果樹園を経営する農業法人で4年間研修生・従業員の経験を積み、独立してリンゴ園の経営主になりました。

 

独立当初のリンゴ園は、高齢の為管理不十分の農家から、農業法人の社長の名義で借りたものを、リンゴ経営の熱心さが認められて、賃貸借契約の更新時にY.Sさんの名義の農地借入になったそうです。

 

石川県でビニール温室のメロン栽培と野菜の露地栽培をしている3児の母親R.Sさん(36歳)は、会社勤めの共働きでしたが、二人目の子供ができた時に、農業に就業したそうです。

 

農地は、農業への本気さを認めてもらい集落の営農組合から転作田を借りることができたそうです。

 


⇒ 農業起業のためのオススメ塾はこちら

 


⇒ まずは適正を見るために家庭菜園からスタートする方はこちら

 

 

⇒ 続きの記事を読む